話し始める瀬々に意識を集中させ、耳を傾ける。
「少し過去を振り返るんスけど、遡ること十二年前。あかねっちはトラディメント・ドメニカをご存知で?」
「トラディ……え?」
初めて聞いた言葉を繰り返そうとするが、慣れない言葉に詰まり、首を傾げる。
すると瀬々は一度アーネストに目配せをし、それからすぐに視線を戻して再度話し始める。
「簡潔に言うと……ある二つのチームの間で起きた抗争なんスよ。けど、あまりにも背徳かつ非情な事件として、異能者の歴史に刻まれてる一番新しい惨劇とされてるッス」
「惨劇……」
「…………まぁ俺から言わせてもらうと、抗争という名の一方的な皆殺しなんスけど」
「え?何か言った?」
小さい声で何かを呟いた瀬々の顔を覗きながら聞き返すが、いつもの調子で軽くはぐらかされてしまい、何を言ったかは分からず終いだった。
「それで片方のチームは今もまだ健在なんスけど、もう片方は……その抗争がキッカケで解散してしまったッス」
「そうなんだ……」
「そんで、生き残りの異能者ってのはその解散したかつてのチームに所属し、尚且つ抗争に巻き込まれつつも今もなお生きている、唯一の異能者なんスよ」
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