「確か昶のこと話した時にポロッと……」
「そうなんスか」
「若いながらよく働いてるらしいね。私も藍猫に勤めてた時期はあるけれど、不定期で大変じゃないかい?」
「否定はしないッス。でもやりがいあるし、何より楽しいんで」
「それはいいことだね。君は優秀な社員になれるかも知れない」
互いに笑顔で言葉を交わす二人だが、彼等が初対面から腹の探り合いをしているなど知らず、あかねは湊志が持ってきてくれたデザートを口に運びながら、様子を見ていた。
「アーネストさんこそ、藍猫辞めてからずっとフリーで自立してるじゃないッスか。社長たまに嘆いてるんスよ?アーネストがいれば、うちの会社はあんな狭苦しいところでやってなかったって」
「ははっ。それは買い被りだよ。私は君ほど熱心に働いていなかったし」
「またまたぁ。戻る気はないんスか?」
「どうだろう。心揺さぶる人がいるなら、考えてもいいけれど。残念な事に、今はあかね嬢に夢中なんでね」
自分達の様子を伺いながらも、デザートを口にする彼女を見遣る。
そのあどけなさをどこか愛しく思い、頬が緩みそうになるのを抑えると、アーネストは再び瀬々を見遣る。
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