桜空あかねの裏事情


「あ、俺の事は悠でいいッスよ。嫌なら、ゆうちゃんでもゆうくんでもゆーたんとか」

「変わらず瀬々で」


無表情かつ淡々と答えれば、瀬々は唖然とし瞬時にうなだれる。


「あかねっち、ひどいッスよ。俺ら友達じゃないんスか〜?」

「友達でも私はいつも通りの呼び方が、しっくり来るの」

「そんなぁ……こっちからすりゃ複雑ッスよ!俺の片想い的なー……がくり」

「そりゃどうも。というか、何でここにいんの?」


大袈裟なほどに落胆する瀬々を、適当にあしらいながら何気なく問い掛ける。
学校よりも仕事、休みより仕事の彼が、ここでゆっくりとくつろいでるなど初めて見る上に、異様な光景だ。
それとも、これも仕事の最中なのだろうか。


「休みなんスよ。ここ三日間ずっと張り込みで徹夜して、先輩らに丸一日暇を与えられたんス」

「良かったじゃん」

「でも急に言われても、疲れてるワケでもないから、暇で仕方ないんスよ。俺仕事一筋じゃん」


注文して、ようやくやってきたフライドポテトを口へ運びながら、独りでに話し始める。


「そんな時にあかねっち達が店に来たワケなんスよ。めっちゃラッキー!って。まぁ昶っちや山川さんは奥に行っちゃったけど……何でか知ってる?」


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