桜空あかねの裏事情


さり気なく昶を横目で見れば、昨日の不安な表情ではなく何か思案しているようだった。
それは自分がいつも見ていた彼と、確かに変わりなかった。
そんな姿にあかねはまた安堵して、微笑みながら呟いた。


「…良かった」

「え?」

「昨日よりかは大分、吹っ切れたみたいで」

「あー……まぁな」


どこか照れ臭そうに答える昶。


「あかねと沢田の話を聞いててさ、オレが思ってた事ってちっぽけで、なんだか馬鹿らしくなっちまってさ」

「……どんな事思ってたの?」


訊けば、昶はゆっくり目を伏せて、少しずつ語り出した。


「オレさ……沢田に異能者だって事をバラされてからさ、ずっと他人が信じられなくて、裏切られる事がすごく……すごく怖かったんだ」

「………」

「そんな自分が嫌で変えたくて。でも今のままじゃ変えられない。新しい環境ならそれも出来るんじゃないかって、この高校選んだんだ。そんであかねに会った」

「そうだね。昶はここにきて、一番最初のダチだよ」

「ああ。オレもだ。初めは好奇心だったけど、オレが異能者だって知っても、変りなく接してくれるし秘密は守るし、色んな事を話してくれる。そのうちにオレは、コイツなら裏切らないんじゃないかって思えてきたんだ」



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