そう言いながら瀬々が指差したところには、昶がいた。
いじけ虫とは、どうやら彼の事らしい。
「ずっと探してたッスよね?」
「そうだけど」
「香住くんだってそう望んでいるはずッス……ね?」
瀬々が問い掛ければ、気まずさは抜けないものの昶は頷いた。
その様子に今は避けられてはいないのだと、あかねは密かに安堵する。
「そういう事だからさ、二人でちゃんと話し合って納得したら戻ってきて欲しいッス。君達が一緒にいないって、気持ち悪くて」
最後のはどういう意味だと聞きたかったが、せっかくの好意を無駄にする事はせず、間を空けて頷く。
「分かった」
「遅くなっても二人の分は残しておくから、心配しないでいいッスよ」
背を向け旅館を後にする瀬々。
その背中を見送ると、あかねはゆっくりと昶に歩み寄る。
「今日は……初めて話すね」
「あ、ああ」
「とりあえず、あっちで座って話そうよ」
近くにあったベンチに座るように促すと、昶は何も言わずに座る。
それに続くように、あかねも隣に腰掛ける。
だが二人の距離は、隔たりがあるように普段より空いている。
「………」
話したい事はただあるのに、いざ話すとなると何から切り出すべきなのか分からず、あかねは言葉に詰まる。
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