桜空あかねの裏事情


沢田が背中が遠ざかったのを見計らって、瀬々は大袈裟に一息つく。


「ふぅ……ああいうヤツの相手は疲れるッス」

「その割には随分高圧的だった気がするけど」


僅かに笑みを浮かべながら、あかねは口を開く。


「伊達に駆け引きしてないしね。それにジョエルさんを相手にするより、よっぽどいいッスから」

「何でジョエル?」

「だって桜空さんにもしもの事があったら、間違いなくジョエルさんが出てくるッス。下手したら殺されるかも……ひぃぃ!恐ろしやー!」

「そんな大げさな」


怯えるようにわざとらしく頭を抱える瀬々に呆れながらも、先程の彼の対応には感謝していた。
あのまま割って入ってくれなければ、恐らく無傷ではすまなかっただろう。


「瀬々には感謝してるよ」

「…桜空さんまさかのデレ?」

「素直な気持ちよ。ありがとう」


笑顔でそう告げれば、瀬々も連れるように笑った。


「どういたしまして。貴重な一コマ頂きやした」

「じゃあ行こう。山川さんを待たせてるんでしょ」

「そうなんスけど、桜空さんにはやる事が残ってるッス」

「え?」

「そこに突っ立ってる、いじけ虫さんと話すことなんスけど」


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