桜空あかねの裏事情



あかねが呆れたように笑いながら、今の心情を吐露すれば、沢田は心底気に食わなかったのか更に食い下がった。


「勝手なことばかり言いやがって……お前だってダチとか言ってるくせに、本当はそんな事思ってないんだろ!?」

「はぁ?アンタに私の何が分かんのよ」


先ほどの自分の発言を繰り返され、沢田は何も言えずに押し黙る。


「確かに、人に気を遣いすぎるのはどうかと思うけど、昶はちゃんと話を聞いてくれる。自分の事のように考えてくれる。ジョエルに嫌味言われた日でも、顔を合わせるだけで笑顔になれる」


――だからこそ昶が苦しんでる時や
――悲しんでる時はほんの少しだけでも、
――力になりたい。
――例え周りが敵ばかりでも
――私は昶の味方でいたい。

出会ってからまだ一か月も経っていないが、それが昶に対するあかねの本心だった。


「アンタがどう言おうが、昶が異能者だろうが何だろうが、私のダチなの」


自信に満ちた表情でそう告げたあかね。
その姿に沢田は悔しげに表情を歪めるが、ただそれだけで言い返すことはしなかった。
否、出来なかったのだろう。
当然ながら怒りが収まるはずもなく、沢田はあろう事か拳を振り上げて、あかねに向かって振り下ろそうとする。
だがその瞬間ぱしり、と、乾いた音が響く。


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