桜空あかねの裏事情


そこまで聞いてあかねは瞬時に理解する。
当時、既に昶は異能者だったがその事実が公になっておらず、拒絶される事などもなかった。
しかし反対に異能の血を引く沢田は、当人が異能者でなかったにせよ周りから忌避され敬遠されていたという事。
そしてそれは、当人達ではどうしようも出来ないことであるという事実も。


「最初は警戒して遠慮がちだった昶も、いつしか俺以外にも笑うようになった。俺以外には頼らないって言ったくせにな」


最後に嫌みたしい言葉を付け足し言い放てば、沢田の表情は徐々に暗いものに変わっていく。


「分からなかった。異能者のアイツが除け者にされないで受け入れられて、血を引いても能力のない俺は除け者にされるのか。なのにアイツは人の気も知らないで、のうのうと笑って過ごしてた」

「だから昶を傷付けて、あんな風にしたわけ?」


昶のやたらと他者を気遣い、自分の意見をあまり口にしないのは目の前にいる少年が元凶だ。
短い会話でそう確信したあかねは、真剣な眼差しで彼に問う。
それに対して沢田は、肯定するかのようにまた話始める。


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