桜空あかねの裏事情



「オレが……どうしたいか」

「迷ってるように見えて、案外決まってるようなもんスよ」


それから特に言葉を交わすこともなく歩いていくと、数分後に旅館に着いた。


「ロビーにはいないな」

「あー……もしかして部屋にいたりする?」

「鍵は先生に預けてるから、それはねーと思うけど」

「そうッスよねぇ。まさか行き違いになってたりとか………ん?」


瀬々は何か発見したのかロビーの奥の休憩所に視線を移す。
そこには見掛けない制服を着た男子と、自分達が探している見慣れた後ろ姿があった。


「男子の方は知らないけど、女子の方は桜空さん……だよね」

「………」

「香住くん?」


瀬々は隣にいる昶をふと見れば、彼の顔色は先程の朔姫と話していたよりも、ずっと蒼白じみて緊迫とした面持ちであった。
これがあかねの言っていた、昨日の彼の様子なのかも知れない。
普段と打って変わっていて、その表情はどことなく恐れを含んでいる気がした。


「何話してるんだろ?」


瀬々は身を乗り出して様子を伺うが、話し声が微かに聞こえる程度で、内容は分からなかった。


「ちょっち近付いてみるッスよ」

「オレはいい…………って!」



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