朔姫の提案により、半ば強制ながらも昶を連れて旅館への道を歩いていく。
「それにしも桜空さんはどこ行ったんだか……途中で出くわしたりしないかなぁ」
「………」
「まぁどっちでもいいか。とりあえず見つかれば。ね?香住くん」
「え?ああ……そうだな」
話を聞いていなかったのか、少し戸惑いながら昶は相槌をうつ。
「香住くんさ」
振り返る事はせず、前を歩きながら瀬々は尋ねる。
「桜空さんの事嫌いになったの?」
「は?」
「だってさ、桜空さんが帰ってこないって言っても驚いてないしさ。もう友達じゃないのかなぁって」
「なっ!?そんな事ッ……ねぇよ」
強い否定ではないにせよ、最後まで言葉を紡いだ昶。
彼もまた彼女の事を、大切な友人と思っているのだ。
「だったらそれでいいじゃん」
「え?」
「桜空さんを嫌いじゃないなら、友達と思ってんならそれでよくね?」
互いに気付いていないだけで、当人達の想いは通じ合っている事を、端から見ているだけでも充分過ぎるほど分かるのだ。
「この際周りの事なんか気にしないで、自分がどうしたいか考えてみなよ」
.

