朔姫もそう思っているのだろう。
徐々に顔色が悪くなっている。
余計な事を口にしてしまったと悔いた瀬々は、機転を巡らせて続く言葉を探す。
「まぁ桜空さん結構しっかりしてるんで、何もないとは思うけど。ちょっち旅館に行ってくるッス。なんでその間、ここの場所取りをお願いしたいんスけど……」
「なら私が場所取りしておくわ」
朔姫が一歩前に出て、瀬々に言い放つ。
「助かるッス。じゃあ飯盒は香住くんに……」
「それは平気」
朔姫は続いて言葉を遮る。
「飯盒はもう出来てる。それに今、直江先生に見張ってもらってるから平気」
「直江さんが?……ああ」
担任の名前が出て不思議に思った瀬々だが、食材の買い出しの時に、自分の班に来るよう促したのを思い出して納得する。
「なら飯盒はそのまま直江さんに任せてっと」
「ええ。だからそこのいじけ虫を連れて行って」
「了解ッス……ん?」
瀬々は思わず首を傾げる。
いじけ虫とは一体誰のことだろうか。
朔姫を見遣れば、視線は既に昶に向けられていた。
「しばらく放っておいたけど、いつまでもそのままでは周りが迷惑する。何よりあなたの為にならない。桜空さんだって、そう思っているはず」
見据えた視線に、昶は気まずそうに目を逸らす。
そんな様子に瀬々は昶の肩を軽く叩いた。
「山川さんもこう言ってることだし、香住くんも一緒に行きまっしょい」
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