桜空あかねの裏事情



材料を持って調理場に着くと、タイミングが悪かったのか生徒達で溢れ返っていて、割り込む事も出来ず順番待ちを余儀なくされた。


「ありゃりゃ……これは予想外」

「ま、仕方ないよ。私達やるの遅かったし」


調理場の端で様子を眺めながら二人は呟いた。
見る限り、相当時間が掛かりそうだと密かに溜め息をついた。


「野菜ぐらいは洗いたいんスけどねぇ……」

「なら旅館に戻って洗ってこようか?」

「いいんスか?」

「うん。ここで何もせずに時間を潰すよりかは、マシでしょ」


そう言って瀬々が持っていた材料が入ったビニール袋を片手で受け取るが、思っていたより重く自然と両手持ちとなる。
その様子を見ていた瀬々が控えめに尋ねてきた。


「あー……なんなら俺がいく?」

「大丈夫。その代わり後は全部お任せするから」


笑顔で答えると瀬々は目を丸くするが、意図が分かったのか今度はいたずらな笑みを浮かべる。


「なるほどね。確かにその方が後々、楽なわけッスね。じゃあ野菜洗いは桜空さんにお任せしやす」

「了解です」


瀬々に許可を貰うと、あかねはここからそう遠くもなく、また近くもない旅館まで歩いていった。


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