桜空あかねの裏事情



「桜空さんはオルディネの人達に買うんでしょ?」

「うん。あと家族」

「あ、そっか。桜空さん家って大家族だもんね」

「瀬々は?」

「俺は藍猫の先輩らに。家族は……別にいいかな。全く会ってないし」

「そう……」


瀬々の口から意味深な言葉を聞いたが、追求する事はしない。
人には人の事情がある。
無闇やたらと突っ込んではいけない。


「聞かないんだね」


あかねの反応に何を思ったのか、或いは不振に感じたのか瀬々はそう言葉を掛ける。
その様子を横目で伺いながらあかねもまた口を開く。


「聞いて欲しかった?」

「そういうわけじゃないけど、普通は気になるもんじゃない?」

「そうだね」


あかねは隠すことなく短く答える。


「気になるよ。でも瀬々から話してくれるまでは、自分から聞いたりはしない」


はっきりと告げれば、瀬々は飄々とした雰囲気を纏いながら、愉しげに笑った。


「なるほどね。少しだけど、香住くんが桜空さんをダチと認める理由が分かった気がする」

「そう?あ、これなんてどう?」


あかねは瀬々の隣にあった包装紙に包まれた箱を差す。
どうやら人気の銘菓らしく広告に大きくピックアップされ、大中小の箱に分かれていた。


「ミルククリームの入った蒸しケーキっすね。うまそう」


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