桜空あかねの裏事情



担任の声に小走りで乗り込むと、間もなくしてバスが発車する。
二人は再度メモに書かれた材料を確認する。


「肉、玉ねぎ、じゃがいも……あと人参?でも俺、人参苦手なんスよね。無しにしない?」

「却下」

「桜空さんマジ鬼畜!」

「それよりカレーのルーって辛口?甘口?」

「中辛でいいんじゃん?間を取って」

「そうだね」



あかねは納得して、メモを瀬々に返す。


「でも山降りたからってスーパーあんのかね」

「直江ちゃん曰く、とりあえずスーパーっぽいとこで買うらしいよ」

「スーパーっぽいねぇ……」


些か不安がないわけではないが、毎年の恒例行事であるので気にする事はないだろう。


「それより桜空さん」


隣に座る瀬々が声を掛ける。


「昨日は香住くんと話せたッスか?」

「うん。少しは」


そこまで言ったところで、あかねはハッとする。


「……もしかして、昶が来たのはアンタの入れ知恵?」

「ピンポーン!ウジウジ悩んでたからさー。軽く背中を押しちゃいました!みたいな感じッス」

「へぇ……そうだったの」



合点がいったように呟くと、隣でグッと親指を立てる瀬々の頬を思いっ切り抓った。



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