桜空あかねの裏事情



それから月日は流れ
彼等はあの時より成長した。
自分達以外の他人とも知り合う。
そして環境にも変化が訪れる。
それでも変わる事はないと信じきっていた。





「沢田!」

「ん?……なんだ、昶か」

「ははっ!なんだってひでーな!あのさ今日の放課後――」

「ごめん。俺、雪子達と予定があるんだ」

「え?あ………そっか。ならいいや」

「悪ィな。じゃあまたな」

「おう。またな!」





小さなすれ違い。
そんな些細な事から少しずつ変わりゆく世界に、少年はその時はまだ気付いていなかった。
その後も些細な事は続いたものの、少年はあまり気にする事なかった。
それは以前より彼以外の他人と積極的に関われるようになったからか。
或いは彼との絆を支えに前へと進もうとしているからか。

どちらにせよ、少年にとっては大きな一歩であることに変わりはなかった。
その代償として何を失うかさえ気付かないくらいに。

その間にも時間は流れる。

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