「へぇ……友達、ね」
そう繰り返す男子は、何だか面白がっているようだ。
「俺は沢田。昶と同じ中学で三年間クラスメートだったの」
「ふーん」
「コイツ人に気を使い過ぎて、色々と大変っしょ?」
「別に。むしろ色々言ってくれて助かってる」
興味なさげに短く答えると、あかねは昶へと振り返る。
相変わらず怯えた表情をしているが、あかねの姿が見えているからか、先程よりは幾分か落ち着いてはいた。
「そろそろ行こ」
「え?」
「さっき先生に言われたじゃん。明日の事で話す事があるから、部屋に来いって」
言うが早いが、あかねは笑顔を貼り付けて昶の手を掴んで勢い良く引っ張って立たせる。
そして背を向かせると、軽く推しながら歩いていく。
「折角の再会を邪魔して悪いけど、今は時間がないの」
「そりゃ残念」
振り返って笑顔で答えると、沢田と名乗った男子はわざとらしく肩を落とす。
「良かったな昶。良いお友達が出来て」
「…………」
「またな昶。それと、ちっちゃいお友達さん」
その言葉を背に聞きながら、後ろを決して振り返ることなく、あかねと昶はその場を去った。
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