「どうしたの?」
「あ、いや……その瀬々が……あかねを見掛けたって言ってたから、何してんのか気になってさ」
「え、それだけ?」
いや、違う。
内心ではそう答えるが、昶はなかなか口に出す事が出来ない。
いざ話そうとすると何故か緊張してしまう。
どう答えようか考えていると、近くにいる女子達が声を掛けてきた。
「桜空さん。うちら部屋に戻ってんね」
「あ、うん。なんか悪いね」
「へーきへーき。彼氏さんとごゆっくり」
あかねは苦笑している。
ここでも自分達の関係を勘違いされているらしい。
言われる度に否定はしているが、誤解を解くにはまだ時間が掛かるらしい。
「で?何かあったの?」
「へ?何で?」
そう返せば、あかねは目を丸くしてを首を振る。
「何もないならいいんだけどさ。ただ朝から様子が変だったし、少し気になって」
どうやら瀬々の言う通り、薄々気付かれていたようで、昶は小っ恥ずかしくなった。
「それよか、今日はあんま二人で話す機会がなかったし」
「だよな。バスじゃあかねは寝ちまうし、その後は何だかんだ言ってタイミングが合わなかったりなんかで」
あかねも同意するように頷く。
本当に今日はある意味、よく出来た一日だったと思う。
「そういや明日は飯盒炊爨だな。オレめっちゃ楽しみ!」
「ねー。山川さんに聞いたけど、準備班と調理班で分かれるんだよね」
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