戸惑いながらも小さく頷く昶。
だがその表情はどこか不安げで頼りない。
「香住くんってさ……結構、女々しいッスよね」
「……は?」
「いやだって、余計な事ばっか考えてそうじゃん?例えばあかねに嫌われたらどうしよーとか」
「そりゃあ考えるだろ。自分が撒いた種だけに」
「自分が撒いた種ねぇ……」
言葉を繰り返しながら、瀬々は呆れながら言葉を続ける。
「確かにそうかも知れなッスけど、よく考えてみ?桜空さんはそういう小っさい事気にしないっしょ」
「小っさいってお前な……まぁその通りだけどよ」
反論するかと思えば、昶は力が抜けたようにガックリとうなだれる。
その光景が少し可笑しくて瀬々は軽く笑う。
「ほらね?君だってよく分かってるじゃん。それにむしろ、君に隠し事される方が彼女としてはショッキングな気がするけどね。端から見るに、桜空さんは君をかなり信頼してるだろうし」
本人から聞いたわけではないにせよ、あんなに堂々とダチと公言しているのだから、それ相応の信頼があるのは違いない。
「つーわけで行ってらっしゃい」
「え、今から?」
「ピンポーン!さっきロビーで騒いでる女子達の隣で、寝っ転がってだらけてる桜空さんを見掛けたんスよ」
「何やってんだ。あかねは」
そう言うものの、昶は体を起こして立ち上がる。
「よし。行くか」
「ちゃんと話すんスよー」
「分かってるっての!」
口調を強くして答えると、ドアノブに手をかける。
「いってらー。気をつけてね」
瀬々は手を振りながら昶を見送った。
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