桜空あかねの裏事情


緊張感のない言動だが、昶にはそんな事はどうでもいいのか、視線を下に落としたままだった。


「で?桜空さんをどことなく避けてる理由は?」

「………」

「黙りか。まぁ差し詰め予想はつくんスけど……君の場合は言わない方がいいかな。桜空さんほど強くないッスもんね」

「ッ」


端から見れば挑発にも取れる発言に、怒るどころか動揺する。
そしてゆっくりと目を伏せて、閉ざしていた重い口を開いた。


「……そうだな。オレはあかねみたいに強くない」


諦め笑顔で答える昶。
そんな様子を見て、瀬々はつまらなそうにふてくされる。


「俺が言うのもなんだけど、自分を卑下するのは感心しないッス」

「ははっ。悪ぃな」



苦笑しながらも普段のように軽い口調で、昶は全てを悟らせない。
瀬々は冷静に彼を見てそう思った。


「ま、俺に言わなくてもいいけどさ。桜空さんにはちゃんと言いなよ」


昶の肩を軽く叩く。


「避けられてる事に気付いてなくても、君の異変には気付いてるだろうからさ」

「あ、ああ……」


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