桜空あかねの裏事情


「はぁ………何やってんだろ、オレ」

「何ってそりゃあ……携帯投げ捨てて布団に寝転がって、物思いに耽る香住くんじゃん?」


第三者の声に起き上がれば、飄々とした笑みを浮かべる瀬々の姿があった。
風呂上がりなのか髪が濡れている。


「瀬々か……驚かすなよ」

「悪かったッスね。でも鍵は開いてたから、一応声は掛けたんスけどね」


瀬々は特に悪びれる様子もなく、昶の向かいに座る。


「で?香住くんは何か悩み事?一応、出張先でも藍猫は相談もやってるッスよー。さぁ、おいでおいでー」

「遠慮するぜ」


あまりにも軽い誘いに、昶は呆れながら答えた。
すると瀬々は態度を崩さぬまま、昶の顔を覗き込む。


「で?真面目に香住くんの悩み事は?」

「何もねーよ。ぼーっとしてただけだし」

「えー?それはウソっしょ。じゃなきゃ、あんなに桜空さんを避けたりしないスよね」


核心をつくような物言いに、昶の顔は僅かに強張る。


「……別に。つか何でそんな事」

「これでも情報屋ですからねぇ。相手の些細な動きとか行動とか読み取るもんなんスよ。まぁ桜空さん自体は気付いてないだろうけど」


.