部屋を出て少し歩くと、あかねは既に同室の生徒と打ち解けていた。
「え、笹川さんって一組なの?」
「うん!そうだよ」
「じゃあ担任って、あの岡山っていうオヤジ教師……」
「そうなんだよね。そっちは直江さんでしょ?若いし、優しいよね」
「言われてみれば」
あかねは同室の女子、笹川との会話に華を咲かせながら歩いていた。
「この前なんて彼氏といたところ見られてたみたいで、根も葉もない事も言われちゃってさ」
「それは酷い。ってか、笹川さん彼氏いるんだ」
「うん!同中の子で近所に住んでるの」
「そうなんだ!」
幸せそうな満面の笑みで答える笹川に、つられるようにあかねは微笑む。
恋愛事は現在無縁かつ興味も無い為、自分には少し遠い世界だと感じた。
「桜空さんは年上の彼氏がいるんだよね?」
「え?いないよ」
あかねの返答に、何故か笹川は楽しげに笑った。
「またまた隠しちゃって!結構、話題になってるよ。香住くんの次は社会人って」
「はい?」
どこをどう見て伝えたらそうなるのか。
噂とはこれほどまでに一人歩きをするものらしい。
「香住くんってそこそこ格好いいでしょ?密かにモテるんだよ。あたしのクラスの女子達の中にも、狙ってる子いるし」
.

