もうじき一ヶ月が経つが、未だに成果を挙げられていない。
このままでは、そのまま二ヶ月過ぎてしまうのではないだろうか。
そんな不安があかねの心に押し寄ってくる。
「んー。それは変スね」
「変?」
「俺が知ってる情報だと、オルディネが調査してる異能者は二人いるッスから、もしかしたらジョエルさんが内密に調べてるのかも」
「ジョエルが……」
告げられた事実に、そこでもジョエルに助けられてばかりだとあかねは痛感する。
未熟であることは自覚しているが、こうして裏で動くのならば、やはり彼がリーデルをやるべきではないのかと。
「まぁその内の一人は香住くんだから安心スね」
「――え?」
あかねは思わず声を漏らす。
その様子に瀬々は首を傾げる。
「どうかしたッスか?」
「え、あ、その……確かに昶なら安心するなぁって」
笑いながら言葉を紡ぐあかねだが、内心はとても混乱していた。
――何で昶を……。
――そんな事ジョエルから一言も聞いてない。
――もしかして今朝のはそれ?
――昶の様子も明らかに変だったし、
――二人の間に何かあったの?
「あ、そういえば香住くんの事で思い出したんスけど、この旅館に滞在してる他校って香住くんの実家の近くにある高校なんスよ」
思考を繰り広げていると、瀬々が陽気に話し出す。
その内容は一聞大した事ではなかったが、あかねは妙な引っかかりを感じていた。
「何もないとは思うんスけど、香住くんには少し注意を払っておいた方がいいかもね」
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