「伝言?」
陸人が尋ねると、アーネストは笑顔で頷く。
「――私が留守の間、暇そうなら書類の整理なり作成なり、何でも押し付けてやれ――って言ってたよ」
「随分勝手ねぇ」
「勝手どころか、自分の仕事を押し付ける自己中心最低野郎じゃんそれ」
「なんというか……私ですら気が重い」
伝言を伝えた途端、三人はそれぞれ思うままに率直な感想を述べる。
それが可笑しかったのかアーネストは腹を抱えて笑った。
「くくっ……あははははっ!ここまで率直な意見が聞けるなんて、思わなかったよ。確かに気持ちは分からなくはないけれどね」
どこまでも自分主義な旧友だとアーネストは思う。
しかしそれが彼らしいと言えばそれまである。
「それで、毎度ながら不在のジョエルさんはどこに出掛けたんですか?」
「さて、場所までは聞いていないけれど……確か、例の女の子に会うと言っていたかな」
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