桜空あかねの裏事情


「安全圏……」


同じ言葉を繰り返しながら、言われてみればそうかも知れないと、あかねは思う。


「でも今回は違う。データも乏しく極めて未知数。まるで今後に賭けている一種の博打のような人選なんス。ジョエルさんほどの人が、最後になって血迷うなんて事は考えにくい」

「………」

「そこで俺が思い至ったのは、他者の存在。ジョエルさん以外に人選に携わる者がいるんじゃないかって」


言い切ると、瀬々はどこか真剣な表情であかねに向き直る。


「今のオルディネの人選って、桜空さんがしてるっしょ?」

「…どうしてそう思うの?」


透き通るような青い瞳で瀬々を捉え、あかねは静かに問う。


「時期的に。あと手に入れた情報を繋げて」


瀬々もまたあかねを捉えながら静かに答える。


「初めはアーネストさんかと思ったけど、彼は他者に合わせる癖があるから違う。山川さんや他の所属者を考えてみたッスけど、彼等にはその術ないし、センスもない。もっともジョエルさんには逆らえないスからね」

「ジョエル性格悪いもん」

「そうみたいッスね。となると彼を凌ぐ、或いは対等に渡り合える人物が人選を施してると絞られる。だけどオルディネはリーデル不在のチーム。となると、自動的に桜空さんに行き着くわけ」

「なるほどね」

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