ジョエルには皮肉と嫌味を言われ続け、朔姫達との関係は良好に見えて、どこか距離を置かれてぎこちない。
更には昶にさえ、大切なことを打ち明けられずにいる 。
安らぎどころか、悩みの種は尽きることはない。
そんなあかねの答えに瀬々は苦笑をする。
「少なくとも俺にはそう見えるんスよ。何事も懸命に頑張ろうとしてる桜空さんの姿は。だから協力したくなっちゃうんスよね」
「協力?」
「そう。桜空さんって今、大変な事に巻き込まれてないスか?」
瀬々の問いに、あかねは口を堅く結ぶ。
リーデルの件は口外してはならないとジョエルに再三言われている。
少なくとも彼は情報屋の端くれ。
ここで素直に頷いても、否定しても気付かれてしまうのではないだろうか。
「知らないかもだけど、近頃オルディネが無所属の異能者を独自で調査してるんスよ。先輩達は最後の悪あがきとか言ってるけど、俺は違うと思ってる」
「どうして?」
「明らかに違うんス。以前の人選とね」
確信めいた発言に、あかねはただ呆気に取られる。
「オルディネの人選は、恐らくジョエルさんがしてると思うんスけど、あの人のやり方は極めて厳選されてる。若くて才能がある……簡単に言えば先を見据えた、安全圏を取るタイプなんスよ。オルディネの存続を頭に置いてるなら尚更ね」
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