ベンチに座り、互いに飲み物を少し飲むと周りの喧騒に混じることなく、一つ沈黙が生まれる。
だがその沈黙は決して気まずいものではなかった。
しばらくして、瀬々が口を開いた。
「ねぇ桜空さん」
「なに?」
「この前はごめんね。挑発的な態度を取っちゃって」
「いきなりどうしたの?」
突然の謝罪にあかねは瀬々を見る。
いつもと変わらない飄々とした笑みを浮かべてはいるが、その中にどこか優しい色を帯びている。
「俺さ、実は同い年の異能者に会うの初めてなんスよ」
「そうなの?」
「うん。だからすごく嬉しかったし、余計仕事にも熱心にやり過ぎちゃったんだと思う」
「…………」
「でも桜空さんはすごく警戒してるし、仕事も最近不調で、ふと落ち着いてに考えてみたんだ。そしたら……らしくないって」
少しずつ自らの想いを語り出す瀬々に、あかねは彼から視線を逸らさずにただ耳を傾ける。
「仕事とか関係なく、桜空さんに興味があったんだと思うんス。俺と違って、自由に生きている桜空さんに」
「自由って……結構大変なんだけど」
瀬々の言葉にあかねは真面目に返答する。
今置かれている状況は、断じて自由とは言えないからだ。
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