黎明館 ジョエル自室
「失礼致します……起きていますね」
重いドアを開ける結祈。
目の前にある暗闇に臆することなく、はっきりと部屋の主に告げる。
「お前が来なければ、もう一眠りするとこだったがな」
もう飽きるほどに慣れた声は、重く響くように暗闇から聞こえた。
その声に存在を確認すると、結祈は息を一息ついて静かに息を呑む。
今はもう朝のはずだが、完全に光を遮断した部屋ではそれすら分からない。
そんな中でも、彼は平然としているのだろう。
「何の用だ。愚痴なら他を当たれ」
「それはこちらの台詞です。先程ギネヴィアさんから連絡がありました」
緊迫した雰囲気の中、結祈は億劫になりつつある心情を蓋をして、ジョエルの言葉を待つ。
「ギネヴィア……ということは例の件か」
「はい。ほぼ伝言のようなものですが、牽制という意味合いでは先手を打つ事は成功したそうです。ですが、相手の意気を削ぐことは難しかったようで」
「なるほどな。奴らも往生際が悪い」
「どういたしますか?任務を引き続き続行するのなら、自分は彼女の援護をするつもりですが……」
「いや、これ以上は不毛だ。ギネヴィアには頃合いを見て退けと言っておけ」
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