桜空あかねの裏事情



先程の会話などまるで無かったかのように、他愛のない話をしながらバスに乗ると、後部座席の方で瀬々が手を振っていた。


「二人ともー!こっちこっち」


手招きされて、その場所まで行くと瀬々とその隣には既に朔姫が座っていた。
そんな二人を見てあかねは昶の肩に手を置いた。


「ドンマイ」

「言うな。それ以上言うな」


昶は手で顔を覆いながら、拒絶の言葉を唱える。
その様子を楽しいと感じながらも、あかねは労りの言葉を掛ける。


「そんな悲しまなくても、帰り一緒に座ってもらえばいいじゃん?」

「笑いながら言うなよ!つか、んな簡単に言えるかっての」

「普段ナンパしてるくせに」

「それとこれとは別だって」

「うそくさ」


本人に言わなくもいくらでも方法はあるだろうにと。
しかし昶がどこまで本気か理解しかねるので、それ以上は何も言わなかった。


「ま、とりあえず行きは私で我慢して下さいな」

「いや、お前ならフツーにいいし」

「え、二股?」

「違うって!」

「冗談だよ」


真面目に切り返す昶に、あかねはおどけたように笑ってみせる。


「ともあれ楽しみだね!」

「おう!いっぱい写真撮ろうな!」


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