桜空あかねの裏事情


「悪い。オレ今携帯持ってなくてさ、時間あんま見てなかったわ」

「そういう時もあるよ」


あかねが笑うと昶も徐々に笑顔になる。


「じゃ、そろそろ行こうぜ!あかねがいるってことは山川さんや瀬々も来てんだろ?」

「そうだけど、何で私が基準?」

「一番来るのが遅いから」

「ひっどー」

「棒読みで言われてもなぁ……つか、ホントの事じゃね?」


軽いつっこみを無視しながら歩いていくと、ふとジョエルに言われた事を思い出す。


「あとさ」

「ん?」

「今朝、ジョエルによろしく伝えといてくれって言われた」

「っ……」


何か変な事でも言っただろうか。
昶の表情が戸惑いと怯えを含んだのが一目見て分かり、あかねは様子を伺うように口を開いた。


「どうかした?」

「あ、いや……何でもねぇよ。ただアイツがそんな事言うなんてな」


明らかに何でもなさそうな態度を見せられ、思わず聞きそうになるが、悟られないように必死に隠そうとしている昶を見て、敢えて分からないふりをする。


「だよね。私もビックリしたよ。まさかジョエルの口から昶の事が出るなんてさ」

「ははっだよな!相変わらず変なヤツ」


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