桜空あかねの裏事情


寮生と別れた後も探したが、昶を結局見つけられなかった。
集合時間も近くなったので、仕方なくあかねはトイレに向かっていた。


「学校には来てるみたいだから、バスで会えるだろうし……まぁいいか」


呟きながら、女子トイレに足を踏み入れた時。


「…あかね?」

「はいー……お」


自分を呼ぶ声に振り向くと、そこには今まで探していた人物が不思議そうな表情で見ていた。


「昶……だよね?」

「お、おう。どうしたいきなり」

「……って」

「ん?」

「そこで待ってて!トイレ行ってくるから!」

「へ?お、…おう」


思った以上に強調した言い方になってしまったが、昶が驚きながらも了承したのを確認すると、あかねは勢い良く女子トイレに入っていく。
手短に用を足すと、すぐさま昶が待ってる場所に戻る。


「早かったな」

「まぁね。それより昶、今までどこにいたの?」

「どこって、フツーに一条や佐々木達とかと話してたりしたけど」

「そうなんだ」


どうやら行き違いになっただけのようで、あかねは内心安堵する。


「何かあったのか?」

「いんや。ただいつもなら私の事出迎えてくれるじゃん。だから珍しいと思ってさ」


そう言えば、昶は何故か苦笑していた。


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