「ジョエルさんはどこですか?」
「彼なら出掛けて行ったよ」
「なら何でアンタがここにいんのよ!不法侵入じゃない!」
アーネストがいた事が気に食わなかったのか、前触れもなく苛立ちを隠さずに怒鳴るギネヴィア。
ジョエルの知り合いで、かつ見知った相手で出入り許可をされているから不法侵入ではない。と思いながらも、事の成り行きに身を任せる朔姫と陸人。
「不法侵入って……一応ジョエルに許可を取ってはあるから、ここにいていいはずだけれど。それにしても、あまり拒絶ばかりされると逆に期待してしまうよ」
「ハァ!?」
今にも殴りかかりそうなギネヴィアの勢いに、おどけながら両手を前に出すアーネスト。
「おっと冗談だよ。私がいる理由はある。彼に頼まれていた依頼の報告さ」
「依頼ってなーに?」
今までの話を沈黙したまま耳を傾けていた陸人が、訊き返す。
それほどまでに依頼の内容が気になるのかと思うのと同時に、朔姫は不思議に思った。
ジョエルは異能者達の中でも人脈も幅広く力もある。
なのに一介の……しかも無所属の目の前にいるこの男に何かを依頼するのだろうか。
依頼の内容も確かに気にならないわけではないが、朔姫にとっては何故アーネストに依頼するのか気になっていた。
そんな彼女の思惑を余所に、アーネストは変わらない笑みを浮かべている。
「陸人は知りたがりだね。でも個人情報というものもあるから、あまり詳しく言えないよ」
「えー。一つくらい教えてよ」
「一つ……じゃあ、新しくこのチームに入ってくる女の子の事とか……ね」
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