「桜空さん……もしや香住くんをお探しで?」
朔姫と話していた瀬々が、その様子に気付いたのか声を掛ける。
「うん。昶の姿が見当たらないから、どうしたのかと思って」
そう言いながら、あかねは再び周囲に視線を移すが、やはり昶の姿は見当たらない。
「まだ来てないの?」
「いや、俺が学校についたとき見掛けたからいるッスよ。そん時、寮の奴らと一緒にいたような?」
「あ、ならちょっと探すわ」
昶の姿を見つけられないことに、どことなく落ち着かないあかねは、人混みの中へと探しに足を踏み入れる。
「りょーかい。あ、荷物は預けたら?」
「そうだね。じゃあよろしく」
「え、俺?」
確かに荷物がない方が探しやすい。
その結論に辿り着いたあかねは、戸惑う瀬々に構うことなく、強引に自分の荷物を持たせる。
「あの行列に並ぶとかめんどい。山川さん、また後で」
「いってらっしゃい」
朔姫に声を掛けると、あかねはすぐに人混みの中に消えていった。
「流石は桜空さん。まぁ確かにあの行列には並びたくないけど」
その後ろ姿を見送り、荷物預ける為に並んでるであろう生徒達の行列に視線を移して、瀬々は呟く。
「その内、空くだろうから待ちますか」
「……そうね」
二人は行列を見ながら、そう呟いた。
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