大徳高校 校舎前
黎明館を後にして約十五分。
あかねと朔姫は校門に辿り着いた。
既にバスが来ており、その周りで生徒達の賑わいがいつも以上に響いていた。
「おーい!桜空さーん。山川さーん」
立ち尽くす二人に向かって、人混みの中から瀬々が軽やかに走ってくる。
「瀬々くんね」
「だね」
浮き足立ってる周りの生徒達に比べ、彼の飄々とした振る舞いは遠くから見ても、普段と変わった様子は見られない。
思いのほか冷静なのかも知れない。
「はよーッス。二人ともちっとも来ないから、ずっと待ってやしたぜい」
「そうだったの。待たせてごめんなさいね」
朔姫は驚きと罪悪感を含んだ表情で、瀬々に素直に詫びる。
すると瀬々は何故か目を輝かせた。
「山川さんってば優しー!マジ感激ッス!」
「…大袈裟ね」
「ホントっすよー。ここまで言うとは思わなかったし!流石は学校一の美人!」
「そう。でも最後のはよく分からないわ」
「はぁ」
瀬々と朔姫のいまいち噛み合っていない会話に、呆れてを交えて溜め息をこぼすと、あかねは周囲を見回す。
学校に着くと、いつも出迎えてくれる昶の姿が見当たらない。
彼は大抵早めに登校している為、学校内にいるとは思うが、もしかして今日はまだ来てないのだろうか。
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