桜空あかねの裏事情


だがそれは、異能者として知恵も後ろ盾も持たないあかねには、仕方のないことである。
それにそう考えるよりかは、この状況を上手く活用すればいいのではないだろうか。


「どうする?お嬢さん」

「葛城さんを招待するのは賛成。でも」

「でも?」

「ジョエルもその場にいてくれるよね?」

「無論だ。君一人でまともに話せるとは思えんからな」


ジョエルの返答に、あかねは嬉しそうに笑った。


「良かった。葛城さんの事はそれでお願いするわ」

「了承した。しかし意外だな。お嬢さんが私を頼るとは」

「あー……うん。ちょっと考え方を変えただけ」

「ほう、実に興味深い。詳しく聞きたいところだが、それはお嬢さんが帰って来てからにしよう」


するとジョエルは自らのポケットから何かを取り出し、あかねに差し出した。
掌で受け取ったそれは、黒石の首飾りだった。


「?何これ?」

「魔除け……とでも言っておこうか」


あかねは意味が分からず、首を傾げる。


「数日と言えど、私の元を離れるからな。君の身にもしもの事があれば、大変迷惑極まりない」

「あ、要するに心配してくれてるのね」


そこであかねはジョエルの意図を理解する。
彼は一言喋れば皮肉ばかりが零れるが、こういう配慮を欠かさない。
そんな事を思いながら、差し出されたそれを素直に受け取った。

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