「んな……!?」
告げられた事実に、思わず瞠目するあかね。
確かに部屋は隣だが、空間を隔てる壁がそんなに薄いとは思わない。
だがジョエルの反応を見る限り、聞こえていたのだろう。
内心から少しずつ湧き上がる羞恥を誤魔化すように、あかねは視線を逸らす。
「からかいにきただけなら、もう行くけど?」
そっけない態度を取れば、ジョエルは笑みを崩すことのないまま、言葉を続ける。
「冗談だ。お嬢さんに用がある。少し話がしたい」
どうやら気紛れに呼び止めたわけではないらしい。
だが時間があるというわけではない。
自身の意志だけで返答は出来ず、あかねは既に階段を一段降りて話を聞いている朔姫を見る。
その視線な気付いた朔姫は、軽く頷き口を開いた。
「少し早めに行こうと思ってたから、時間的にはまだ平気」
「そっか」
あかねは少し安堵する。
「先に玄関で待ってる」
「え」
「結祈が待ってるし、何よりジョエルさんはあなたと二人で話したいだろうから」
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