「桜空さん」
「あ、山川さん」
顔だけ覗かせ、控えめに部屋を見回す朔姫の姿が視界に映る。
色素の薄い髪を一つに結いまとめ、彼女特有の凛とした姿は最初こそ目を引いてたものの、今ではもう日常と言ってもいいほど見慣れてる気がした。
そんな彼女に声を掛けると、ドアの前でほっとしたように笑った。
「おはよう。なかなか来ないから、もしかしたらまだ寝てるかと思って」
部屋に入りながら言われた朔姫の言葉に、あかねは何も言えずただ苦笑する。
「あー……ごめんね。でも今から行こうと思ってたところなんだ」
手に持つボストンバックを誇らしげに見せると朔姫は微笑しながら頷いた。
「良かった。実は少し心配してた」
「心配?」
「ええ。でも余計な事だったから気にしないで。支度が出来ているなら、行きましょう」
「うん」
そう言って朔姫はあかねが頷いたのを確認すると、部屋を後にする。
そしてあかねは一旦、部屋全体を見回す。
時間は無かったもののベッドのメイキングや部屋の掃除は、結祈に負担が掛からないように、自分が出来る限りしておいた。
それらを確認すると、あかねも朔姫の後に続いて部屋を出た。
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