桜空あかねの裏事情



黎明館 三階



「あーヤバい。急がないと」


自室の洗面所と荷物が置いてある机の間を、あかねは行ったり来たりしていた。
林間学校当日。
早朝とはいえもう八時半を過ぎている。
目覚ましをセットして普段よりやや早めに寝たまでは良かったが、目覚ましが鳴ってもそう簡単に起きれるものではなかったのだ。
やっとの思いでようやく起きれば、目覚ましで予定した時間から十五分ほど過ぎており、今に至る。
最低限の支度で済ませようとするものの、朔姫と待ち合わせの予定の時刻まで既に五分を切っている。


「帰ったら、絶対目覚まし変える」


黎明館に来てからと言うもの、目覚ましは変わらずにセットはしているものの、結祈に起こしてもらう事が多かった。
その上、場合によってはジョエルと鉢合わせ、朝から嫌みを浴びせられる時もあり、この朝のスタイルを変えたいと常々思っている。


「荷物はこれだけ、と」



支度が終わり、最終確認として鏡を見て身支度を整える。
そして机に置いてある荷物を持って移動すると、自然とドアが開いた。


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