桜空あかねの裏事情



「どうした?」


視線が気になったのだろう。
ジョエルは声を掛ける。


「いや……久しぶりに君の素顔を見たと思ってね」

「そんな事か。大したものではないが」


手に持ったままのサングラスを見つめながら、ジョエルはそう呟いた。


「やはり放っておくのは勿体無い。今夜、二人で飲みに行くかい?」

「どうだかな。お嬢さんはこの顔を見ても、何の反応も示さなかったぞ」

「あかね嬢は……ねぇ」


年若く、恋に焦がれた事もないであろう少女に、それらしい反応を期待しても意味はないだろう。
初対面の時の反応も、同年代のである朔姫なら困惑するか、顔を赤らめたり多少の意識はするだろうが。
しかし彼女の場合は意識するどころか、やや大袈裟な挨拶程度にしか思われてない具合だ。


「普段からサングラスを外して過ごしてはどうだい?」

「冗談じゃない。夜ならいいが、日中のあの眩しさは耐えられん」

「昔はしてなかった気がするけど」

「……いつの話をしている」

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