養成所 客間
「いやぁ……まさかお前さんが直接来るとは思わなんだ」
目の前の老人は愉快そうに笑った。
ジョエルはその様子に構う事なく、ただ黙っている。
「てっきり結祈くん辺りが来ると思ってたんじゃが」
「その予定だったが、結祈には他に優先すべき事があってな。今日は私が赴く事になった」
「それはそれは、ご苦労なこった」
男は上辺だけの労りの言葉を口にする。
「して、一緒に来ていた娘は誰かな?あのような娘がお前の知り合いにいた記憶はないが……まさか隠し――」
「違う」
相手の言葉を最後まで聞くことなく、否定するジョエル。
すると男は大きな声で腹を抱えて笑う。
「はっはっはー!冗談じゃよ。君には息子しかいなかったもんな」
「………」
「んで、あの娘は?」
話題を逸らせたと思った矢先に、また話を戻される。
目の前の男が、彼女を気にしているのは明白だった。
だが教える義理はないので、ジョエルは最低限な事だけを話始める。
「あれは私の知り合いの娘だ。養成所がどのようなところか大変興味があるとうるさくてな。連れてきたまでの事」
「ほう……」
.

