連絡先を交換してそれからも話し続けていると、持っていた携帯から音が流れる。
誰かからの着信で、書かれた名前に思わず溜め息が零れる。
しばらく無視していたが止む気配がなく、あかねは仕方なく携帯を耳に当てた。
「もしもし。まだ帰宅中…………どこにいるって?駅だよ駅。ちゃんと帰るから安心して。あと電話の回数多い。はっきり言って迷惑。じゃあ」
一方的に話して電話を切ると、昶は店で見せた表情と同じく目を丸くしていた。
「さっきのヤツにもそうだけど、兄弟にもはっきり言うんだな」
「当たり前じゃん。嫌なものは嫌だと言わないと」
そう言ってあかねは携帯の電源を切って、鞄の奥底にしまう。
「煩いのがいるから、そろそろ行くよ」
「おう。家についたら連絡するわ」
「りょうかーい。じゃあ、またね」
互いに手を振って、それぞれの帰路へつく少女と少年。
これも紡いだ絆の一つに過ぎない……。
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