桜空あかねの裏事情


「はい。そうです」


控えめに問い掛ける男に素直に答えれば、安堵したのか男は警戒していた固い表情を少し緩めた。


「分かった。君の言葉を信じるとしよう」

「ありがとうございます」

「ただし」


喜ぶのも束の間、男の言葉にはまだ続きがあった。


「俺も共に行こう」

「え……いいんですか?」


あかねは目を白黒させて男を見上げた。


「ああ。一人で勝手に動き回られて何かあっても困るからな」

「はは……ですよね」


疑いは完全に晴れているわけではないが、とりあえず案内があると思えばいいと、あかねは気にしない事にした。


「とりあえず、よろしくお願いします!えっと……」

「葛城駿だ。君は?」

「桜空あかねです!」


元気良く名を明かすと青年――葛城駿(カツラギ シュン)は先程のように瞠目する。


「まさか……君は御三家の一つ、桜空家の息女なのか?」

「あー……はい。一応そうです」


名字を出すのも、ここではまずかったのかと思いながら、控えめに肯定する。


「全く。そういう事は早く言ってくれないか」

「どうしてですか?」

「御三家と言えば異能者の名門中の名門だ。疑う余地もないだろう」


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