軽く頭を下げ謝罪をするあかねを見て、男もすかさず謝罪の言葉を返した。
「怪我はないか?」
「大丈夫です。軽くぶつかっただけなんで。失礼します」
それだけ言うと、あかねはその場を去ろうと再び歩き出す。
「待て」
「はい?」
男は何故かあかねを呼び止める。
すると上から下まで、見逃さないとばかりに見始める。
「……何か?」
「ああ、見ない顔だと思ってな。新入生か?」
「え、違います」
あっさりと答えたあかねだが、男は怪訝そうな表情を浮かべる。
「新入生ではない?では、何者だ?」
否定の言葉を述べた途端、突然男から疑いの眼差しを向けられる。
だがよく考えてみれば新入生でもなく、ましてや見知らぬ者がふらふら歩いていれば、警戒されても当然だろう。
あかねは素直に話す事にした。
「知り合いの付き添いで来たんですけど……」
「知り合い?」
「はい。なんだか込み入った話があるから、それまで校舎内を見学でもしていろって言われて」
込み入った話があるからと言われていないが、強ち嘘ではないはずだ。
ジョエルにも私が異能者を探す為にここに来たのと同じく、彼自身の用件があってここに赴いているのだろうから。
「そうか」
短く言うと男は考える素振りをして、再びあかねを見る。
「無粋な聞き方だと思うが……君は異能者か?」
.

