「私は、少し見学したいな」
「そう言うと思ったよ。気が済んだら門の前で待ってろ。迎えに行く」
「分かった」
「まぁここまで来たのだから、一応期待はしておこう」
皮肉を口にして、ジョエルは女性と共に歩いていこうとする。
しかし何か気掛かりな事があったのか、足を止めて再びあかねの方へ振り返る。
「どうしたの?」
「一つ言い忘れていたが」
「ん?」
言い忘れた事とは一体なんだろうか。
あかねはジョエルから告げられる言葉に対して、僅かに身構える。
「大した事じゃない。君に限ってそんな事はないと思うが、くれぐれも自分がリーデル候補である事を口外しないように」
周りに聞こえないように、あかねの耳元で囁くように忠告するジョエル。
「君の身に何かあっては困るからな」
「そんなの、言われなくても分かってるよ」
「どうやらそのようだ。ではな、お嬢さん。また後で」
あかねの変わらない態度を見て、愉しげに笑みを浮かべると、今度こそジョエルは背を向けて歩いていった。
その姿を見送ると、あかねもまた校舎へと足を踏み入れた。
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