桜空あかねの裏事情


繰り広げられる話題に、昶は適当に相槌を打ちながら、次第に街並みへと意識を傾けていった。
誰に関心を向けることもなく、足早に通り過ぎていく人々。
その中で毎日、何か目的を持って歩いている人など、どれほどいるのだろうか。
何もなくただ毎日を過ごしている人の方が多いのかも知れない。


「なぁなぁ香住くーん」


隣を歩いている男子が自分の肩を叩きながら、呼んでいた。


「前から気になってたけどさ、彼女ってどうやったら出来んの?」

「彼女?」

「またまた惚けちゃって!」

「ほら!同じクラスでいつも一緒にいる小っさい女子!仲良いよなぁ」

「あー……」


そこで初めて、彼等があかねの事を言っているのだと気付く。


「悪いけど、あかねはダチだから」

「ダチ!?あんなに仲良いのに!?」

「まぁな!」


得意げに言えば、信じられないと言わんばかりの表情を浮かべ、色々と聞いてくる男子達。
昶は笑ってごまかし、それ以上は答えなかった。


「香住くんは秘密主義なのか」

「ははっ、そんな事ねぇって!お前らはいんのか?」


自分の事を聞かれるのが、いたたまれなくなったのか昶は話題を振る。


.