桜空あかねの裏事情


「いらっしゃい」


店のドアを開ければ、やや落ち着きのある声が聞こえた。


「あ、なんだ。アーネストじゃないか」


二人を迎えたのは、店の奥から出てきた茶髪に翡翠の瞳の若い男性だった。



「やぁ湊志。何だか冷たいね」

「だって君、ここに来る割にはあんま注文しないじゃん。そういうの営業妨害って言うんだよ?」


男とアーネストの間で繰り広げられる軽口を聞く限り、二人は知り合いのようだった。
あかねはその光景をただ眺める。



「今日はジョエルいないんだね」

「彼は私と違って忙しい身分だからね」

「確かにね。ところで、後ろにいるお嬢さんは?」


男があかねの存在に気付くと、アーネストは男に見えるように左横に移動して紹介した。


「彼女は桜空あかね嬢。オルディネの未来のリーデルさ」

「ワォ。予想外の人物の登場だ」


目を丸くし、男は興味津々な眼差しを向ける。
一方であかねはアーネストに困惑の表情を向けた。


「アーネストさん、まだ決まったわけじゃ」

「ふふ。少しくらいプレッシャーがあってもいいんじゃないかな」



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