桜空あかねの裏事情


アーネストに連れられ、歩くこと数分。
小路から路地裏へと進んでいき、広場のような場所へ辿り着く。
左右を見れば、一本道になっていて、様々な店が無数に並んでおり、雰囲気は違えどどこか商店街を思わせる。
しかしそこには先程まで確かにあった人気などがなく、別世界を思わせるほど不可思議な空間だった。


「……ここは?」

「ここはプラティア」

「プラティア?」


普通に聞き返しただけのはずが、何故だかやけに声が響く。


「異能者達だけが入ることの許される、異能者の為だけ場所さ」


簡潔に説明するとアーネストは歩き出し、その後を追うようにあかねも歩き出す。


「私もこの空間の存在を知ったのは少し前でね。詳しい事は知らないのだけれど、聞いた話では大分前からあるらしくて、現実とは違う空間に存在しているみたいなんだ」

「じゃあ本当に、別世界なんですね」

「そうだね」


アーネストの足が止まる。
横にずれて見てみれば、菫の花の絵の上に【ヴィオレット】と書かれた看板が飾ってあった。
中はやや暗くてよく見えないが、飲食店か何かだろうか。
仄かに香ばしい匂いや甘い匂いが漂っている。



「さて入ろうか」


言うが同時にアーネストは手を差し出した。
はじめは不思議に思ったあかねだが、笑みを崩さない彼を見て、その手を取り店へ入っていった。


.