桜空あかねの裏事情


了承の言葉を言い掛けると、朔姫は少し間を空けて、また言葉を紡いだ。


「寄り道した事ないから、その……どこへ行けばいいか分からなくて」


朔姫の発言に、あかねは目を丸くする。
そのような付き合いをする間柄の友達がいないのか、または真面目なだけなのかは分からない。
だが何故か珍しいものを見ているような不思議な感覚だった。


「それは大丈夫。昶いっぱい知ってるから」

「ならいいけれど……桜空さんは行かないの?」

「うん。私はアー……この後予定があって。今日は行けないんだ」


アーネストの名前を言いかけたが、内密にというメール文を思い出し、素早く言葉をうまく繋げて誤魔化す。
その為、怪しまれる事はなかった。


「そうだったの」

「ごめんね。今度一緒に寄り道しよう」


笑顔で言えば、朔姫は嬉しそうに頷いた。
同時にクラスメートが何人か戻ってくる。


「じゃあ私、自分の席戻るから」


朔姫は自分の席へと戻っていく。
昶は呆然としながら呟いた。


「……これって夢じゃないよな?」

「頬抓ってあげようか?」


さり気なく問い掛けるが、本人の了解なく勝手に頬を抓る。


「いたたたッ!」

「夢じゃないじゃん」

「そうだな……」


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