桜空あかねの裏事情


ほぼ同時にあかねと昶が声を上げた。
それに驚いたのか、朔姫は一瞬だけ肩が跳ね、目を丸くし唖然としていた。


「ないない!昶はダチだよ!」

「え……そうだったの?いつも一緒にいるし、みんなそう話してたから、てっきりそういう関係なのかと」

「違う違う!だよね!?」


後ろを振り向いて同意を求めれば、昶はブンブンと何度も力強く頷く。
すると朔姫は恥ずかしげに少し顔を赤らめ、眉を下げた。


「……ごめんなさい。勘違いしてしまって」

「あぁ、全然平気。驚いただけだから」


そう笑顔で答えたが、昨日のように会話が途切れてしまった。


「えーっと………こ、校内見学は?」

「さっき終わった。みんなもうすぐ戻ってくると思うわ」

「楽しかった?」

「あんまり。ただ校内見て回っただけだから」

「あ…そうなんだ」


話してみるが単調に終わってしまい、会話が続かない事を密かに悩んでると、今度は朔姫から問い掛けてきた。



「桜空さんは、ずっとここにいたの?」

「うん。昶と一緒に喋ってたよ」

「そう……仲が良いのね。そういうの少し、羨ましい」


僅かに微笑む朔姫に対し、少し違和感を覚えた。
異能者の対人関係はやはり容易ではないのだろうか。
表情には決して出さずに、あかねはそんな事を思っていた。


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