桜空あかねの裏事情


不意に携帯が鳴る。
どうやらメールが届いたようだ。
だがそれは知らないアドレスからだったが、開けてみれば用件の下に名前が書かれており、その名を見て思わず笑みが零れる。


「なんだなんだ!その反応は!もしや男か!?」

「男と言えば男だね」


送られてきたメールをニヤついている昶に見せると、文章を読み始めた。


「“まだ授業中かな?今日は学校まで私が迎えにいくから、待っててね。この事はみんなには秘密で。アーネスト”……これってデー」

「違う」


あかねは即答する。

――というかアーネストさん、
――何で私のアドレス知ってるんだろう。
――教えたことないのに。

それが疑問だった。


「アーネストって、さっき言ってたヤツだよな?」

「うん」

「って事は年上…だよな?」

「そうだね」

「……年上が好みなのか?」

「どうしてそうなる」


勝手に妄想を繰り広げる昶に呆れながら指摘するが、全く聞く耳を持っていないようだった。


「ハァ……あかねはこの後デートか」

「だから違うって」

「オレも可愛い女子とデートしたいぜ」

「彼女作れば?」

「ナンパしてもスルーされるんだよ、これが」

「してるんだ。山川さんは?」

「いやいやいや!話した事もないし、それはハードル高いって!」


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