「そんなもんなのか?」
「うん。オルディネは崖っぷちだから」
「なんだそれ」
昶はそう言って屈託なく笑う。
既にいつもの彼に戻っていた。
どうやら切り替えるのも上手らしい。
「……昶はチームに入りたいの?」
「んーまだ分かんね。興味はあるけどな」
あやふやな物言いだが、あかねは内心彼が入ってくれれば心強いと思う。
だが本人に入りたい意志がない以上は、無理強いする事はしたくない。
「そう言えば山川さんも異能者なんだよな。話してみたのか?」
「うん。ちょっとね」
「いいよなー」
昶は情けない声を出す。
「山川さん、男子達の間でかなり人気なんだぜ。学年一の美少女とかってさ!」
「ほー。男子は早々にそんな話題で盛り上がるのですか」
「まぁな。つかオレは言ってないからな!好みだけど!ドストライクだけど!」
「はいはい」
白い目を向けながらも、あかねは軽く受け流して窓越しの景色を眺める。
晴天の空に、生徒の賑わう声がどこからともなく聞こえる。
下を見れば、確かに先程登った塀が見える。
昶はこの位置から見ていたのだろうか。
「今日って三限で終わりだよな?」
「確かそう……ん?」
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